2001年2月4日日曜日

工藤重典/フルートバロック名演集

  1. シェドヴィル/ソナタ第6番ト短調「忠実な羊飼い」
  2. C.P.E.バッハ/フルート・ソナタ ト長調「ハンブルガー・ソナタ」
  3. F.クープラン/王宮のコンセール第4番ホ短調
  4. ヘンデル:ソナタ第4番ト長調 op.1-5
  5. テレマン:フルート・ソナタ ヘ短調「忠実な音楽の師」より
  6. ブラヴェ:フルート・ソナタ ト短調「ルマーニュ」 op.2-4
  • フルート:工藤重典
  • チェンバロ:リチャード・シーゲル
  • 録音:1994 水戸芸術館
  • Mister Music

工藤重典氏による、軽目のバロック音楽を集めたCDである。工藤氏は最近、木管フルートもよく用いているが(サイトウキネンでも木管だった)、ここではどうやら金属製の現代フルートのようである。

廉価版CDが氾濫するなかで、3000円という価格設定に割高感があるのは否めない。しかし、工藤を聴きたくば買うしかない、そして買った後決して後悔しないと断言できる。繰り返し何度も聴いてしまう心地よさがある。

最初に納められている「忠実な羊飼い」は、長くヴィヴァルディの作とされていたが、最近では二ニコラ・シェドヴィルの作品であることが確認されている。当時の売れっ子ヴィヴァルディの名を語って、楽譜を多く売ったのではないかと推察する。

このソナタは1番から6番まであり、6番だけが異質だという人もいる。私も他の曲の中で、とりわけこの6番が好きで、できもしないのに、フルートの発表会で取り上げ見事自爆してしまった曲だ。工藤氏はあくまでも、軽やかに吹き抜けるように演奏していて快い。

C.P.E.バッハのソナタは、どこかで耳にしたことがあるのではなかろうか。初めて聴くとしても親しみやすい曲だ。非常に瑞々し小品である。工藤の音色で聞くと、朝日のさす緑の庭園をゆっくりと散歩しているかのような気持ちにさせてくれる。なんたる至福の瞬間か。

「王宮のコンセール」はフランソワ・クープランの作である。クープランというと、一家が音楽家だったらしく、色々なクープランがいるらしい。クラヴサンの曲でもフランソワの華やかさは、遠くルイ王朝の時代の栄華を思い起こさせるものがある。この曲は全部で7楽章に分かれているが、まさに天上の響きである。

テレマンのフルート・ソナタも見事で終楽章には技巧を駆使した装飾が施されており、見事というしかない。もうため息のでるばかりである。もう、ここらは聴いてもらうしかない。

フルートばかりのCDとか演奏会は、最後には少々飽いてくるものだ。特に同じ時代の音楽ばかりだとなおさらで、だからフルーティストは演奏会のプログアムを様様に工夫している。

このCDはバロックばかり集めたものでありながら、約1時間もの長きに渡り、非常に甘美な時間を我々に提供してくれる。

オケばかり聴いて、なんだか食傷気味だったり、おなかいっぱいになってしまったとき、日曜の朝のひと時、フルートとチェンバロの絶妙なハーモニーを楽しみたい。(そういう私はこれを冬の夜に聴いているのだが)

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