2001年6月27日水曜日

プレビン、アシュケナージのラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
プレヴィン 指揮 アシュケナージ(p) ロンドンso.
4.1970 DECCA

この頃業務多忙で仕事中心の生活になってしまっていた。ゲンナリした気分だったので、買ったままになっていたラフマニノフ/プレヴィン・アシュケナージのボックスから気紛れにピアノ協奏曲第2番を選んで聴いてみた。

聴いて気づいた、この曲を真面目に聴くのは実に数年ぶりかもしれないと。余りにも有名な曲なので改めて聴く気もしないでいたのだ。しかしながら、予想に反してというのだろうか、萎えた気持を奮い立たせ、内側から太いエネルギーと活力を与えてくれるかのような曲であり久しぶりに堪能することができた。

ピアノ協奏曲第2番は、解説などによると28歳の作品である。若さと独特の抒情性に裏打ちされた曲であると思う。チャイコフスキーのピアノコンチェルトと並んで評されるのもむべなるかなと思う。

第一楽章は、霧の中から現れるようなフレーズとともに、続く流れるような情緒たっぷりの旋律が奏でられる。余りにも有名なメロディだが手垢に汚れるようなことは全くなく、ストレートに心に染みわたる。深く黒い水をたたえた洋々たるロシアの大河のようなイメージが浮かぶ。冒頭部分を聴くと、この曲を映画音楽などで使いたくなる気持も分からないでもない。哀愁と憧れのような複雑な気持のない交ぜにななったような曲だ。後半の主題の再現部のカッコよさは身震いするほどであり、続く旋律の何たる切ないことか。万感の思いが満ちてゆく。

第二楽章のピアノ伴奏のもとフルートとクラリネットが奏でる旋律の、気だるさと心地よさは特筆物で目をつぶっていつまでも浸っていたい気持にさせる。中間部から哀愁を帯びた抒情的な部分に移る部分は、明るい音ながらも結構想いを詰め込んだ演奏になっているように思える。しかし、感傷的ではなく鼻につくほどではない。しかし、この楽章は本当に美しい。月光降り注ぐイメージも湧き言葉ではたとえ様がない。

第三楽章、弦楽器との掛け合いや独走ピアノのデンツァの力強さ、そして華やかさは圧巻。中間で現れる旋律の(これまた有名なものだが)素晴らしさ。ラフマニノフは何と見事なメロディメーカーなことか。若さゆえの不安や逡巡、走駆や漲る自信など…色々な感情的なドラマが詰まった楽章だと思う。ラストの再び大河の流れを思わすかのような堂々たるメロディーは、全ての苦難や悩みを乗り切った末の想いが込められているかのようだ。

こうして聴いてくると、この曲は交響曲第1番で失った自信を精神科医の治療により回復させた時期に生まれたことに思いが至る。まさにラフマニノフ回生の曲なのであろうか。自信と輝きに満ちており、生の喜びさえ歌い上げているかのようだ。内側から激しく鼓舞されるようにさえ聴こえるのは、ラフマニノフがこの曲に賭けた再生への願いなのだろうか。(そんなもの賭けてないって?)

30分強の短い曲であるが、素直にこの曲は名曲だと思う。いわゆる名曲のもつ分かりやすさ、ストレートさ、明るさや叙情性、そしてポジティブな雰囲気、その全てがここにはある。ピアノ交響曲としての面白み、ピアニズムの繊細な美しさと激しさ、オーケストレーションの雄大さなどどこを切っても名曲であると思わせる。

ピアノ曲に多く接しているわけではないので、アシュケナージのピアニズムについて論ずることがほとんど出来ないのが悲しい(^^;;; アシュケナージとプレヴィンは思い入れたっぷりに、そして若々しい演奏を展開しているように思える。アシュケナージのピアノは繊細さと力強さ、そして弱音でのコロコロと転がるような音色が見事で、その対比に聴き惚れてしまう。

なじみ易いフレーズや、耳慣れた旋律が出てくるもの疲れきった時は、名曲に浸るのが良いのかもしれないと改めて感じ入るのであった。

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