2001年10月22日月曜日

札響の台所事情

10月19日(金)の朝日新聞夕刊 道内ページに、「札響 不況の波紋受け財政深刻~細る企業・自治体からの支援」という記事が掲載されていた。
札響の深刻な財政難の原因として、企業や自治体が不況の影響で文化事業に予算をつける余裕がなくなったこと、札響を育ててて来た北海道拓殖銀行がなくなったこと、また定期演奏会の客員動員率もホールのキャパの6割程度で、採算ラインに届かないこと、定期会員数も減少していることを挙げている。札響の赤字額は2000年単年度で5200万円、累積赤字で3億6千万円にものぼるらしく、また「札響基金」の利息も落ち込み財政を圧迫しているという。さらに加えて札幌市からの補助金も減額の方向にあり、まさに「一般企業なら破綻してる状況」と札響白鳥専務理事の言葉を引用している。
私もクラシックのHPを作ってはいるが、それほど演奏会に足を運べるわけではない。KITARAでの演奏会は開演時間が19時と比較的遅めの公演になってはいるものの、仕事を終えて演奏会に行くとなると18時くらいには仕事を切り上げなくては到底間に合わない。行きたくとも急な仕事や宴席が入ってしまい、やむなく断念せざるを得ないことも度々である。
そんな状況だから、年に数度KITARAに行かれれば幸せと考えなくてはならない。その数度しかない機会を、外来オケやその他の演奏と天秤にかけながら札響に行くというのは、やはり、ある程度の愛着がなければできるものではないと、思うのだ。ましてや、一般のそれほどクラシック音楽に親しんでいない層をひきつけるには、それ相当の努力が必要かもしれない。例えば札響定期に来る客層と、外来の有名オケに来る客層(客層という言葉は誤解をまねきやすいが、あえて使うと)は、かなり異なっていることにも気付く。
ただ、自分たちの街にオーケストラがあるということは、大いに自慢してよいことだと思うし、また誇りに思う。そして何よりも大変贅沢なことであるというふうに私は思う。オケのない都市では、生のオケを聴く機会はなかなか得られないことを思うとなおさらだ。
どうしたら、札響という事業が成立するのかを考えることは難しい。札響のチェロ奏者 荒木さんのHPでも「札響定期を満席に」キャンペーンを行ったり、その具体的方策をBBSで議論したりしているが特効薬はみつからない。
ただ、何とか札響には頑張ってもらいたい。今回の英国公演も札響には一つの大きなステップとなる重要なイベントだろう。ひとつだけ確実にいえる事は、札幌から札響がなくなったら、それは想像もつかないくらい寂しく、取り返しのつかないくらい大きな損失であるということだ。なんとしても、それだけは避けねばならないと思うのだ。


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