2002年2月4日月曜日

NHK芸術劇場~サイモン・ラトル

��HK芸術劇場で昨年10月に来日したラトル&WPOのサントリーホールでの演奏が放映された。曲目はベートーベンの2番と5番。ラトル&WPOのベートーベンと言えば、昨年CDが発売され話題になっている。

短いがラトルのインタビューも交えて放映され非常に興味深かった。ラトルのベートーベンは今までにない響きを出していると言われる。「古楽器的」という表現が使われるが、ラトルは古楽器を意識したのではなさそうである。彼は当時の楽譜などを取り寄せ綿密に研究していたらしい。そういう音楽をウィーン・フィルの方から一緒にやりたいとの打診があったとのことである。

解説の若杉弘氏(指揮者)も話していたが、「今までの良き伝統と悪い習慣」を見極め、ベートーベンが意図した音楽を再現すること。今までの習慣でついた贅肉を殺ぎ落とし、本来のベートーベンを演奏すること、それが彼の目指したことなのかもしれない。(録画しているわけではないので正確ではないが)彼は言う、「私はWPOに私の服を着せている、しかし大切なのはボディだ」と。WPOという伝統の上に彼の解釈を載せているということなのだろうか。

演奏は2番、5番ともとてもスリリングな演奏であった。快速と言うのではないがテンポがよい。CDでも聴かれたような硬質な打楽器の音が響き、音楽が引き締まっている。キビキビとした運動性能を備えた躍動感、会場で聴けたのなら体が踊っていたかもしれない。5番はいまさら言うのも何だが、3楽章から4楽章へ移る部分が最も好きだ。ここでのラトルの指揮振は素晴らしい。抑えられた音楽が徐々に泡立ち煌く気泡とともに沸騰してゆくかのようだった。しばし時間を忘れてしまった。

アンコールは「スラブ舞曲 変イ長調 作品46-3」(ドボルザーク作曲)であったのだが、ここでは指揮台から離れティンパニを叩いた。ラトルが打楽器奏者であったことを改めて思い出すのだが、席でのラトルの満足げでうれしそうな顔と言ったらどうであろう。そして指揮者のいないオケの統率感、足の先まで痺れてしまった、いやーーかっこいい。


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