2004年6月10日木曜日

ラウタヴァーラ:交響曲 第7番 「光の天使」、「天使と訪れ」

  • 指揮:ハンヌ・コイヴラ
  • 演奏:ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
  • 録音:2001年4月 スコットランド・グラスゴー、ヘンリー・ウッド・ホール
  • NAXOS 8.555814

現代フィンランドを代表するラウタヴァーラの代表作とされる交響曲第7番(1994年)を聴いてみましたが、これも不思議な魅力に満ちた驚嘆すべき音楽でありました。

「光の天使」という副題が付けられていますが、ここで言う「天使」とは、キリスト教的、あるいは私たちが日本人がイメージする森永ミルクキャラメル的な天使ではなく、もっと霊的なインスピレーションを感じさせる存在のようです。

かといって標題音楽というほどにテーマ性があるわけでもないようです。それでも音が放射する光のようなもの、自然に対する畏怖のようなものを感じさせてくれ、聴き終えてみればまさに「光の天使」であるなと納得するのでした。

ラウタヴァーラ的音響は、私にとっては一度聴いたら忘れられなくなる類のもののようです。仕事中でも、ふと気付くと頭のなかでラウタヴァーラ旋律が鳴っていたりしてはっとします(笑)。例えば、協和音の陶酔的な美しさや、不協和音の激烈さ、駆け巡るアルペジオや半音階旋律などですが。

ラウタヴァーラの曲を聴いていますと、確かに「癒し」効果があることには気付くのですが、これはちょっと意外な思いがします。決して心地よいく静かで美しいだけの音楽ではないのですから。先にも書きましたが、霊的といいますか、どこか神秘的なものに触れたような思いをさせてくれる音楽であることは確かです。音楽のカタマリが燦然と鳴り響き、混沌と無秩序の中に大きな存在を感じさせてくれたり、ある断片ではゾクリとするほどの鋭さと美しさを聴かせてくれたりすることが、大自然から感じる畏敬や神々しさに繋がるからでしょうかね。

「天使と訪れ」(1978年)という曲も、「天使」がどこに居るのかと思うほどに強烈な音響を聴かせてくれますが、弱まった音響の中から現れるものの姿や、強烈なる音響の際に聳え立つ姿なども畏怖と感動を覚えてしまいます。つくづく北欧というのは不思議で魅力的な国であるなと思うのでありました。

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